「そろそろ花火が見えるところ探そうか」
「うん!」
あっという間に時間は流れ、花火の上がる時間が近づいてきた。
…なんだか
普通の彼氏彼女みたいだ。
周りにはそう見えているのだろうか。
こんな平凡な私が、こんな素敵な人の隣にいて
変ではないだろうか…
秋斗くんの隣に並ぶだけの価値が
私にはあるんだろうか。
屋台の隣に止まっていたワゴン車の窓に映る自分を見る。
千夏ちゃんが可愛くしてくれた今日の私。
そりゃ今の私の精一杯の"可愛い"だけど
秋斗くんは似合ってるって言ってくれたけど
…ちゃんと"女の子"でいられただろうか。
…なんて
難しいこと考えたって秋斗くんの心内がわかるわけでもないか。
早く花火が見える場所…を
あれ?
「秋斗くん?」
あれれ?
さっきまで前にいた秋斗くんの背中が見えない。
人の移動が激しすぎて見失った!?
「秋斗くん!」
見慣れない人が行き来する視界。
や、やばい
はぐれた。
とりあえず人の波を抜けなきゃ。
なんとか人混みをなんとか抜ける。
屋台の裏側。
人通りの少ない方へ。
巾着袋からスマホを取り出す。
とりあえず連絡を…