遠くでは、駅にある大きな時計が十二時になったことを知らせる鐘の音が鳴り響いていた。



「俺は…」


「杏花!」



後ろから聞こえてきた私の名前を呼ぶ声に、思わず反射的に振り向いてしまう。



「れ、お…」



どうしよう。今は玲央に会うべきじゃない。


会ったらきっと全部伝えてしまうから。


また傷つくのは私なのに、どうして玲央のことなんて好きになってしまったんだろう。



「杏花、あいつのとこに行けよ」


「…え?」