「俺は大学のオーキャン帰り…って、杏花泣いてんの?」



瞬くんに指摘され、慌てて頬を伝っていた涙を袖で拭う。



「…もしかして、あいつと何かあった?」


「あはは、何かって、別に何もないよ。これはただゴミが入っちゃっただけで…」



言っているそばからまた涙がじわりと滲んできた。


慌てて拭おうとするその前に、ぎゅっと力強く瞬くんに抱きしめられていた。



「瞬くん…?」


「泣くくらいなら、俺のとこに来ればいい」


「…え?」



そっと体を離した瞬くんが、真っ直ぐに私のことを見下ろしてきた。