早く言わないと。嘘だよって。


本当は玲央のことなんてなんとも思ってない、私を騙した仕返しだよって…。



「…っ」



玲央に背を向けて、気づいたら走っていた。



たったの一ヶ月。玲央との偽物カップルはたったの一ヶ月だったのに。


いつの間にか玲央の存在が大きくなっていて、私に向けられている気持ちが全部本物だったらいいのにと願うようになった。


嘘なんて、もうつけないよ。私は…本気で玲央のことが好きになっちゃったんだから。



「…杏花?」



ぐいっと腕を引かれて振り返ると、そこには制服姿の瞬くんがいた。



「瞬くん…なんでここに…」