「午前についた嘘を午後にネタバラシをするのがエイプリルフール。…七海さんの正直な気持ちを、伝えたっていいと思うよ」



東野さんは今度こそ踵を返すと、そそくさと元来た道を帰っていった。



「…か、杏花」



ハッと我に返ると、さっきまで東野さんがいた場所に玲央が立って私の顔を覗き込んでいた。



「悪い、待たせた?」


「あ、ううん!全然」


「えっと…とりあえずどっか入るか?」



頷こうと思ったけど、できなかった。


きっと今どこかに行っても私は上の空でしかいられないと思うから。


早く、玲央との関係を終わらせないと。そうしないと私は…。