腕を掴んでいた天峰くんの手が滑り落ちかけ、無意識に手を握っていた。



「…あっ、ごめ…」



ハッと慌てて手を離そうとすると、ぎゅっとさっきよりも強く握られ、恋人繋ぎに変えられた。



「…いい。このままで」


「え、あ、うん…」



珍しく甘えモードの天峰くんに、どうしたらいいかわからず鼓動だけが速くなっていく。



「…あいつ」


「え?」


「富田とかいうやつ、一個上のチャラ男って有名なやつだろ?」


「ああ、うん。瞬くんは中学生の頃から女関係だらしなくて、コロコロ彼女変わってるんだよね。付き合ってた彼女と別れてから新しい彼女ができるまで、今日みたいにふらっと幼なじみの私が遊びに付き合わされることも多いの」