「…あのちょろいくせになぜか彼氏のできない杏花が、付き合ってるって？」


「ちょっと何その言い方。とりあえず、予鈴鳴ったから行くね。瞬くんも女の子ととりあえず付き合うんじゃなくて、いい加減ちゃんと一人にしぼりなよ」



瞬くんに軽く手を振って、その場を後にした。


＊


「七海。帰んぞ」


「あ、うん。ばいばい乙葉」



乙葉に手を振ってから、廊下で待っていた天峰くんに駆け寄る。



「…あのさ、今日…」


「杏花ー」



天峰くんの言葉を遮るようにして、後ろから来た瞬くんにぎゅーと抱きつかれる。