(……なんか、映画みたい。事件記者になったつもりはないんだけど)

状況があまりにも現実離れしていて、恐怖と同時に妙に客観的な気持ちにもなってしまう。

(このまま見つけてもらえなかったら、海外に売り飛ばされるの? それとも殺される? 本当に? ベリが丘って治安が良いはずなのに)
胡桃は膝を抱えて深いため息をつく。

(なんでこんなことに……)

と思った瞬間、壱世と出会ったパーティーの日のことを思い出す。

(よく考えたら、似たような状況で面倒ごとに巻き込まれてるけど……あの日と全然違う)
今度は小さくため息をついた。

(私って、運が良いんだか悪いんだか)
壱世の顔を思い浮かべる。

(会いたいなぁ……)

膝に顔を埋める。

何度か【送信できませんでした】と表示されたものの、メッセージはようやく【送信完了】となった。