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それから二週間後。
胡桃のもとに予期せぬ悪いニュースが飛び込んできた。

「えっ!? 車にはねられた?」

それを伝えたのは、壱世からの電話だった。

「高梨さんが? 大丈夫なんですか?」
『ああ。脚を骨折してしまったが、それ以上の大事には至らなかった』

「そうですか……」
胡桃は悪い知らせに胸を痛めたが、命に関わるような怪我でないことにはホッとした。

「入院先は総合病院ですか?」
『ああ、そうだけど』

「お見舞いに行きます」
『え? うーん……見舞いか』

「どうかしたんですか?」
『……いや、何でもない。高梨も喜ぶと思う』

***

翌日の土曜日、胡桃はベリが丘総合病院を訪れている。
目的は高梨のお見舞いだが、壱世とは別々に来ることにしていた。

(なぜかメガネをかけて行けって言われたけど)
この日、胡桃は変装用のメガネをかけていた。

(いつ来てもきれいで大きな病院。それにやっぱりイケメンのお医者さんが多い)
整形外科の病棟にある、高梨の病室を目指す。

(B一五号室……あ、あった)

胡桃が病室のドアに手をかけた瞬間、中から「ガラッ」開いた。