* * *


 学校から帰宅した。制服のまま、私は自室に置かれた丸テーブルを囲んで宿題をしている。
 その隣では既に飽きて寝転んでいる蓮樹がいた。


「蓮樹、宿題やらないの?」
「もーねみぃ……」
「もう、わからないから一緒にやってって言ったの蓮樹でしょ」
「みらいの写すのじゃダメ?」


 寝転がったまま上目遣いでおねだりしてくる蓮樹はかわいいけど、甘やかさない。


「だーめ。教えてあげるから頑張ろ」
「へーい」


 唇を尖らせながら蓮樹は起き上がる。
 思わずクスッと笑ってしまった。クラスメイトのみんなは蓮樹のこんなダルダルなところ、見たことないんだろうな。

 私と蓮樹は実はお隣さんで幼馴染。
 親同士も仲が良くて、昔からお互いの家をよく行き来している。家族同士で旅行に行ったこともあるくらい、気心知れている仲だ。

 学校ではあんまり話さないけど、放課後こうして家に来ることは日常茶飯事。
 別に幼馴染であることを秘密にしているわけではないけど、学校ではそれぞれ別のグループにいるから何となく話さない。

 蓮樹の周りには常に色んな人が集まるし、話す機会がないというのもあるけれど。