家族でケータイショップに行って、ケータイを新しくした。私はデータの移行はせず、全てを最初からにした。

これで、あなたとの思い出は全部消えた。

「…あるのは。」

新しいケータイを握りしめて、机の引き出しに視線を向ける。

「…バレッタだけ。」

バレッタに罪はないのに、見る事も出来ない。思い出たちが溢れて苦しいから。

「…勇一さん。会いたい…。」

薔薇の香りが恋しくなって、あなたに会いたくて。

あの場所へ行けば会えるの?

さよならを言ったのは私なのに、今更後悔するなんて。