絶望しきっていたが、まだ決まってはいないということで、俺はさのちゃんにアタックし続けていた。



「さのちゃん~」

「陽翔さん!どうしたんですか?!」



そんなふうに笑顔で俺の名前を呼ぶさのちゃんはやっぱり可愛い。

恋は盲目。

今の俺に、まさにピッタリな言葉だった。



「今度見たいって言ってた映画観に行こうよ」

「えェ~…あれ、ですか…?」



さのちゃんと俺が見たいと言っていたのはホラー映画。

見たいとは言っていたものの、怖くてみたくない気持ちもあるらしい。



「可愛い(ボソッ」

「陽翔さん、なんか言いました?」



危ない、声に出てたみたいだった。



「な、なんでもないよ。で、どうかな?」

「…行きます…」

「うんっ!楽しみにしてる!」




自分でも顔が明るくなっていくのがわかった。