そんなある日だった。

俺は浮かれていたんだ。

一番近くにいるのは自分だと思い込んでいたんだ。



「これ誰?」

「これですか?」



さのちゃんのスマホの待受画面に写っていた男の子。

それは、俺の心を揺るがすには十分だった。



「従兄です!月見里ときって言って…」

「そっ、か…」



ときくんの話をするさのちゃんは、凄く輝いて見えた。

きっとこの子は…



「さのちゃんはさ、ときくんが、好きなの?」

「へ?!」



顔が真っ赤に染まったさのちゃん。

あぁ、やっぱり…

さのちゃんはときくんのことが好きなんだ。

そう思うと、まだ一度も会ったことのないときくんを、心の中で恨んでしまった。