「遅れてごめんねっ!」



席に来るなりそう話すさの。



「いいよ、俺も今来たとこだし」



さのの隣で、ひどく戸惑う彼は、俺が目の敵にしていた、ときくんだった。

月見里(やまなし)とき、さのの従兄弟で…さのの片想いの相手。



「は?男?友達じゃなかったのかよ!?」



ひどく焦ったような口調のときくん。

さのはいつものこと、とでも言うように笑っている。




「男友達っていうのがあ るのよ? ボーイフレン ドって言うね」



そんなこんなで三人でわちゃわちゃと話していた。

しかし突然、ときくんが起こったように声をあげた。



「さの、俺、帰るわ」

「え?と、とき!?ま、待ってよ!なんにも食べてないじゃない!」



さのは叫ぶが、ときくんは走っていってしまった。