その声に振り向くと異変に気がついた部長が駆け寄ってくるところだった。
今度という今度は許さない。

今までもこのふたりには散々バカにされてきたけれど、データを消すなんて……!
「部長! このふたりがデータを消したんです!」

「なにそれぇ、言いがかりなんですけどぉ」
「部長。私達そんなことしてませぇん」

甘えるように言うふたりに部長は明らかに戸惑っている。
頬が少しピンク色に染まって、さっきまでの勢いも消える。

「そ、そう言ってるけど、どうなんだ?」
幸へ向けてそう聞いてくる部長に、唖然としてしまう。

悪いことをした犯人が自分のしたことを否定するのは当然のことだ。
そんなこともわからないのか!