つぶやくけれど、自動保存になっているので2時間前の状態に戻るわけがない。
1度画面を消してもう1度データを呼び出す。

けれどやはりそれは2時間前のものだったのだ。
呆然としている幸を見て朋香と和美のふたりが大笑いし始めた。

嫌な予感がして視線を向けると、ふたりと幸を指差して笑っている。
体の芯が焼け付くような気がした。

この仕事だけが生きがいといってもいい生き方をしてきた。
この仕事が好きで、仕事だけはちゃんと認めてくれる人がいて、だから頑張ってきた……!

ブチンッとなにかが切れる音がした。
勢いよく立ち上がったらキャスター付きの椅子がコロコロと後方へ流れていく。

幸はその勢いのままでふたりの近くまで大股で歩いていった。
ふたりが笑うのをやめて幸を見つめる。