「でも、私は一介の魔女でしかありません。こんな場所に残るには不相応ですよ」
「なにを言っている。今回の事件の一番の功労者はお前だ。魔術師を倒して俺の命を守り抜き、ザハールたちの罪を認めさせた。国としても、然るべき場にて相応の褒賞を与えるべしという声が大きく上がっている。それにな……」
「私別に、お礼なんて……」
「ちゃんと伝わってないな。ああもう……まどろっこしい、聞いてくれ……!」

 元々が自分のけじめを付けるためにここまで付いてきただけなのだ。
 あまりぴんと来なくて気のない返事を返すメルに……ラルドリスはチラチラと周りに人影のないことを確認すると、咳払いして呼吸を整え、はっきりと言った。

「頼む!! 一緒になって、ずっと傍で俺を支えてくれ!」
「えぇぇ――――――!?」

 思いもしない言葉にあげた悲鳴が空を突き抜けてゆく。メルは慌てて声を潜めた。

「な、なにを馬鹿な……! ひどい冗談はやめてください!」