他にも、彼に加担していたベルナール公爵他数名が税金の横領など罪を自白した。彼らは身分の剥奪や資産の没収を受け、それらは被害に遭った民たちに順次返還されるとのこと。
 それぞれが優先するもののために戦い、訪れた結末。しかしそこからもまた物語は続いていくのだ、生きている限り。

「ここからが、正念場だな」

 ラルドリスは両手を上に伸ばし、体をほぐす。
 ひと山は越えたものの、これからまた彼は終わらない戦場へと踏み出さねばならない。
 近隣国との関係や、自然災害、疫病……尽きない問題から多くの人の幸せを守る為に、この国の顔として矢面に立ち続けることを決めたのだから。
 しかし彼に後悔や憂いはなさそうで安心していると、その顔がこちらを急に向く。

「と、いうことで、メル……改めてお前に問おう。俺と共に、この国を繁栄させる手助けをしてくれないか。これからも」

 ラルドリスははメルの手を掴み、生き生きとしたまなざしで頼み込んできた。
 ぐっと顔と顔が近付き、間近に迫った鮮やかな朱の目に耐え切れず、ついメルは言葉を濁す。