「何するの!」

「ごっ‥ごめん」

「許さない。あなたのことも、あの女のことも」

パシっ…

岩谷さんは走り際に、僕の頬を思い切り叩いていった。

教室から飛び出して行った岩谷さんを追いかけようと廊下に出ると、そこには飯田くんが立っていた。

「飯田くん…」

「彰、あとのことは自分に任せてくれ」

「任せてくれって、どういうこと?」

「櫻井さんを守りたいんだろ?」

「それはもちろんだけど」

「それに、これ以上、岩谷さんに罪を重ねさせる訳に行かない」

「何をするつもりなんだ?」

「彰、これから自分がすることは黙ってみていてくれ。必ず丸く収めてみせるから」

「飯田くん…」

「男と男の約束だ。必ず守ってくれよな」

「わかった…約束する」

この日、飯田くんは担任の先生に櫻井さんへの嫌がらせをしていたことを自供した。

クラス全体で無視していたり机に落書きをしたり、上履きに砂を詰め込んだり体操着を破いたりしたこと…してもいない罪を洗いざらい告白した。

そして放課後、櫻井さんを除くクラス全員で学級会が行われた。

校長と教頭、学年主任の先生も参加した。

みんなの前で、飯田くんはやってもいない嫌がらせの首謀者であり、自分がみんなにやらせたと言い切った。

誰も、飯田くんの言葉に異を唱えるものはいなかった。

それから校長と教頭、学年主任の先生から2度とこのようなことがないよう厳重注意をされた。

今後、もし同じようなことをする生徒がいた場合、関わったもの全員を退学にすると警告された。