「確かに岩谷さんはみんなから人気があるよ。明るいしステキだし魅力があるし、男子の憧れの的だよ。でも、櫻井さんだって素敵な人だよ」

「そう思ってるなら、何で中学の時、私の告白を断ったの?」

「それは…」

「飯田くんが私を好きだったから?」

「何でそれを?」

「だって告白されたもの。もちろん断ったけど。私が好きなのはあなただったから」

「飯田くんは僕の親友だ」

「ふ〜ん、恋より友情を選んだって訳ね。とっても素敵よね。だから噂を流してやったのよ。あなたが私を好きで好きで仕方ないって噂をね」

「それで、岩谷さんが満足ならそれで構わないよ」

「そんなことより、どうして私だとわかったの?」

「このクラスの連中を動かすことが出来るくらい力を持ってるのは岩谷さんくらいしかいないよ」

「わかってるなら、止めるように直接言ってくれば良かったじゃない」

「こんなこと意味ないって、わかってくれるって信じてた」

「何で散々嫌がらせをしてきたのに、櫻井さんが普通に学校に来れてたから不思議だった。まさかあなたが影で櫻井さんを助けていたとはね。このことは櫻井さんは知ってるの?」

「知らない。嫌がらせがあることも知らない。絶対に気付かせない。普通の学校生活を送らせてあげたいんだ」

「なるほどね」

「もう彼女に嫌がらせをするのをやめてもらいたい」

「嫌よ。あんな娘と同じクラスでいること自体、虫唾が走るのよ。さっさと障がい者のクラスに行けばいいのよ。あんなこっ‥」

パシっ…

自分を抑えることが出来ず、気付いたら岩谷さんの頬を叩いていた。