「柊木さんが事あるごとに奈未ちゃんの写真を僕のスマホに送ってくれたから遠くで奈未ちゃんの成長を見守り続けることが出来た」

「柊木のやつ…」

「それほどまでに奈未ちゃんを好きだったのに僕は気づかないうちに親友の結菜を好きになってた。信じられないくらい結菜を好きになってた。奈未ちゃんへの気持ちは変わらないのに、自分の気持ちをコントロールできないくらい結菜を好きになってた。それなのに…」

「彼女は亡くなってしまった」

「うん…」

「忘れられないのね?」

「忘れられない。今でも結菜のことが好きで好きで仕方ないんだ」

僕の言葉を聞き終えた奈未ちゃんは車のドアを開けて外に出てくると僕と面と向かって立った。

「いいわよ。待っててあげる。あなたが彼女を忘れるまで、いつまでだって待っていてあげるわ」

「何のこと?」

「私も結菜さんに負けないくらいあなたのことが好きだから。私だってあなたが初恋の相手でずっと想い焦がれていたんだから。9年間も変わらずにあなたを好きでいたの。今さら何年かかろうと変わらないわ。それに、あなたの中に結菜さんがいる間は彼女に内緒で抜け駆けするつもりはないわ。彼女とは真っ向勝負で闘うつもりよ。これでも私は日本で3本の指に入る資産家の令嬢なんですから」

「奈未ちゃん…」

僕は居ても経ってもいられなくなり、奈未ちゃんを引き寄せると思い切り抱きしめた。

「ちょっと痛いわ…悪くはないけど…」

初めて奈未ちゃんの想いに気付かされた。

それと同時にいくつかの疑問の答えが導かれた。