『奈未ちゃん、落ち着いて。大丈夫だから。奈未ちゃんは何も悪くないから。今、どこにいるの?』
『市役所よ』
『市役所?』
市役所と聞いて嫌な予感がした。
でも、今この場では怖くて聞けなかった。
『今からそっちに行くから待っててもらってもいい?』
『えぇ』
それから僕は監督に早退の許可をもらい、自転車を漕いで市役所に向かった。
20分くらいで市役所に到着し、建物の中へ向かっていると、建物の正面にある広場のベンチに奈未ちゃんの姿を発見した。
「奈未ちゃん!」
「来てくれたのね…」
奈未ちゃんは僕に気づくと、ベンチから立ち上がって僕の方に歩み寄って来た。
そして僕の手を握ると目を潤ませながらそう言った。
奈未ちゃんがそんなことをするのは珍しいというか初めてだった。
「一体何があったの?」
「全て私が悪いの。私のせいで、詩織さんが本当のお母さんじゃないって、あなたの妹の西島香澄にバレてしまったの…あなたがお兄さんてことも…」
「えっ…」
僕の知らないところで一体何があったのだろう?
何があったら香澄に秘密にしていたことが知られてしまうというのだろう?
「もしかして…戸籍謄本?」
「そう…戸籍謄本を見られてしまったの」
今まで僕ら家族が必死の思いで築き上げてきたものが一瞬にして崩れ落ちてしまったような、そんな絶望感だった。
でも、奈未ちゃんを責める気にはなれなかった。
「許してもらえるとは思ってない。でも、私がしたことの責任は取らせてもらうつもり。もしこれで、あなたたちの家族がバラバラになってしまうようなことがあったら、私の…白川家の力を使ってでもあなたの家族が幸せになれるように、どんなことでもさせてもらうわ」
「いずれは香澄に知られてしまうと思ってた。いつかは本当のことを伝えなければならないと思ってた。このままで良いとは思ってなかった。遅かれ早かれ香澄は知らなければならなかった。それにこんなことで、詩織さんと香澄が離れてしまうほど、薄っぺらい関係じゃないのはわかってる。だから奈未ちゃんが責任を感じることはないよ」
「でも、今じゃなかった。もう少し時間が必要だったと思うの。全ては私の過ちなの」
『市役所よ』
『市役所?』
市役所と聞いて嫌な予感がした。
でも、今この場では怖くて聞けなかった。
『今からそっちに行くから待っててもらってもいい?』
『えぇ』
それから僕は監督に早退の許可をもらい、自転車を漕いで市役所に向かった。
20分くらいで市役所に到着し、建物の中へ向かっていると、建物の正面にある広場のベンチに奈未ちゃんの姿を発見した。
「奈未ちゃん!」
「来てくれたのね…」
奈未ちゃんは僕に気づくと、ベンチから立ち上がって僕の方に歩み寄って来た。
そして僕の手を握ると目を潤ませながらそう言った。
奈未ちゃんがそんなことをするのは珍しいというか初めてだった。
「一体何があったの?」
「全て私が悪いの。私のせいで、詩織さんが本当のお母さんじゃないって、あなたの妹の西島香澄にバレてしまったの…あなたがお兄さんてことも…」
「えっ…」
僕の知らないところで一体何があったのだろう?
何があったら香澄に秘密にしていたことが知られてしまうというのだろう?
「もしかして…戸籍謄本?」
「そう…戸籍謄本を見られてしまったの」
今まで僕ら家族が必死の思いで築き上げてきたものが一瞬にして崩れ落ちてしまったような、そんな絶望感だった。
でも、奈未ちゃんを責める気にはなれなかった。
「許してもらえるとは思ってない。でも、私がしたことの責任は取らせてもらうつもり。もしこれで、あなたたちの家族がバラバラになってしまうようなことがあったら、私の…白川家の力を使ってでもあなたの家族が幸せになれるように、どんなことでもさせてもらうわ」
「いずれは香澄に知られてしまうと思ってた。いつかは本当のことを伝えなければならないと思ってた。このままで良いとは思ってなかった。遅かれ早かれ香澄は知らなければならなかった。それにこんなことで、詩織さんと香澄が離れてしまうほど、薄っぺらい関係じゃないのはわかってる。だから奈未ちゃんが責任を感じることはないよ」
「でも、今じゃなかった。もう少し時間が必要だったと思うの。全ては私の過ちなの」