その日の夜、月の家に立ち寄った。

「どないした?快斗がわしの家に来るなんて珍しいな」

「どうしても聞きたいことあるんだ」

「何のことやねん?」

「サッカーのことだよ」

「そうか、せやったら近くの公園に行って話そか」

それから今日2度目の公園にやって来た。

「それでサッカーの何が聞きたいねん?」

「どうしたらうちのサッカー部は全国大会で優勝できる?」

「どないした急にやる気になって?」

「どうなんだ?月にだったらわかるんだろ?」

「あぁ、わかるで」

「だったら教えてくれよ。頼むよ」

「本気出せや。もっと全力でプレーしぃや」

「いつも全力でやってるよ。手を抜いてる訳ないだろ」

「お前の本気はあんなんか?ちゃうやろ?ほんまにわかれへんのか?」

「わかんないよ」

「せやったら教えたる。チームメイトのこと考えてプレーすな。他のヤツに華を持たせようとすな。自分が全部シュートを決めたらええ。それをチームメイトは望んでお前にパスを集めてるんや。お前にシュートを決めて欲しゅうて、みんな必死にボールをお前に集めてるんや。勝ちたいから、そうしてるんや。せやったらお前がせなあかんのは1つだ。お前がシュートを決めてチームを勝利に導かんかい。ほんで全国大会で優勝せんかい」

「それでうちのチームは勝てるのか?全国大会で優勝できるのか?」

「もちろんや。本気で勝ちたかったらそうせんかい」

「だったら、これからはそうする。勝つためにそうする」

「頼むぞ、キャプテン」

「あぁ、必ず勝って結菜を決勝に連れて行って優勝する」

「そうやな。結菜もそれ望んでる。わしも結菜も快斗はサッカー選手としては一流でプロでも活躍できる能力は持ってるんはわかっとった。ほんで、もう一皮剥けたらお前はほんまにプロでもトップクラスの選手にもなれる思てる。お前ならやれる。絶対にいける。このわしが言うてるんやから間違いあれへん」

「必ず結菜を決勝の舞台に連れて行く」

その為ならどんな努力も惜しまないし、死ぬ気で頑張れる。