「あぁぁぁぁぁぁぁぁ――」

どうしたらこの悲しみから逃れることが出来るだろうか?

どうしたらこの苦しみから開放されるだろうか?

どうしたら動画の中の結菜に思いを伝えて抱きしめてあげることが出来るだろうか?

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――」

「快斗くん、私のわがままであなたにツラい思いをさせてしまった。本当にごめんなさい。でも、1つだけあなたに伝えたいことがあるの」

「なっ‥なん…です?」

「結菜はあなたの気持ちに気づいていたわ。どこで気づいたのかは私にはわからない。たぶん結菜の死を知ったあなたが自分の気持ちに気づいて接し方や言葉とか態度が変わったからなのかもしれない。感のいい結菜だから直ぐに気づいたんだと思うわよ」

「結菜は気づいてくれていたんですね…」

「100%間違いないわ。快斗くんからも感じ取ったのもあるけど、もしかしたら、そのあと誰かに何か言われたかもしれないわね」

「誰かって?」

「それはあなたの方がわかるんじゃないの?」

「えぇ、まぁ…」

そんなヤツ1人しかいない。

「でも、あの時かしらね?夜に面会に行った時にスゴく機嫌が良い時があったのよ。いつもなら私が面会に来ても寝たままのあの子が起きて私に快斗くんの話しをしてきたの。今日は快斗くんが来てこんな話をしたとか、聞いてもいないのに話してきたのよ。何か変だと思ったけど、思い返せばあの時だったのかもしれないわね」

「そんなことがあったんですね」

「結菜も言ってたけど、悲しみはいつかは癒えるものよ。そして少しずつ忘れていくの。でもそれは生きて行く上でとても大切なこと。あなたはこれから先何十年も生きて行くんだから。きっと結菜もあなたの幸せを願って天国に旅立ったと思うの」

「僕は結菜を忘れません。結菜を胸に生きて行きます。そして連れて行ってあげるんです。中学でも高校でも全国大会の決勝の試合に。プロになって日本代表として出場する試合に結菜を連れて行きます」

「ありがとう。本当に結菜は愛されていたのね」

七海さんは泣いていた。

顔も声も結菜に似ている七海さんのその姿が少しばかり結菜と重なってしまい、気づくと肩を抱いてあげていた。