しばらくは2人が歩いているのを隠れながらついて行った。

女は話しながらやたらとパパの腕や手に触れていた。

しまいには、転んだフリをしてパパに抱きついたりしていた。

あったまにきた〜。

も〜許せない。

冗談抜きで殺してやりたくなった。

そして私はパパと女が別れるのを辛抱強く待った。

すると、駅前のデパートの前で2人は手を振って別れていた。

パパはそのまま駅に向かって歩いて行ったけど、私はパパではなく女のあとを追った。

女はデパートに入っていくとアパレルの店で買い物を始めた。

高そうな服の店ばかり入っては服を選んで試着してを繰り返して購入していた。

そんな姿が妙に鼻についてムカついた。

可愛い服を買ってパパに見せて褒めてもらおうとしてるに違いないと思ったら殺意が芽生えてきた。

そして女は店を出ると下のフロアに行くためにエスカレーターに乗ろうとしていた。

私は急ぎ足で女の背後に回りエスカレーターから突き落とそうと手を伸ばした。

ガシッ…

「えっ!」

突然横から手を掴まれた。

振り払おうとしたけど、ものすごい力で押さえつけられてしまい動けなかった。

「パシっ」

それでも諦めずに振りほどこうとした瞬間、右頬を思い切り叩かれた。

「何すんのっ」

声を張り上げて横を向くと、そこには…白川奈未がいた。

「他の人の邪魔になるからこっちに来なさい!」

そう言われたのでうしろを振り返ると、エスカレーターを使おうとしている人の列ができていた。

それに気付いたと同時に半ば強引に腕を引っ張られて人気のないところまで連れて行かれた。

「離して!あなた何なの!」

「静かになさい!あなた、自分が今何をしようとしてたかわかってるの?」

「何って…」

「女の人をエスカレーターから突き落とそうとしてたわよね?」

「・・・・・」

何で白川奈未がここにいるか理解できないけど、私がしようとしていることは何故かわかっているようだった。