「何あの態度…頭くるんだけど」

「香澄ちゃん、落ち着いて。白川さんには余り関わらない方がいいよ。日本でも3本の指に入るような超お金持ちのお嬢様だし、父親はあの大企業の〇〇会社の会長の白川龍也だし…ろくなことないよ」

「そうなんだ…だったらやめといた方がいいね」

お金持ちのお嬢様とは聞いていたけど、そこまでのお嬢様とは…

しかも父親はこの学校に多額の融資をしているという白川龍也とは…

とりあえず、舞香にはああ言ったけど私には関係ない。

今度、喧嘩を売ってくるようなことがあったら私だって黙ってないから!

「舞香、じゃあ私電車で行くからまた明日」

「うん、じゃあね香澄ちゃん。バイバイ」

「バイバイ」

学校の校門を抜けて、直ぐに舞香とは別れて駅に向かった。

そして電車を乗り継いで新宿までやって来た。

パパの会社へは以前にもらったメモ書きに住所が書いてあるのでグーグルマップを頼りに進んでいった。

駅から10分程度で目的の場所に到着したけど、眼の前には超高層ビルがそびえ立っていた。

50階はありそうな全体がガラス張りのおしゃれに設計された建物だった。

すごい…度肝を抜かれた。

こんなところでパパは働いているんだ。

やっぱりパパはすごい人だったんだ。

しばらくの間、あっけにとられた私はただビルを眺めて立っていた。

この中に、パパの会社があるんだ。

でも、メモには会社名は書かれていないし、まさかこんなに早く来ると思ってなかったからパパに聞きそびれてしまっていた。

とりあえず入口の近くの柱の影に隠れてパパが出て来るのを待つことにした。

そして17時を過ぎると、スーツ姿の人や私服姿の人が出口から続々と出始めてきた。

若くてキレイなお姉さんたちが私の横を通り過ぎる度に良い匂いがした。

こんな素敵な女性がい同じ職場にいたら、男たちは毎日が楽しくて鼻の下を伸ばしているんだろうな。

パパもそうなんだろうか?

いや、そんなことはない。

私のパパが、そんじょそこらにいる男たちと一緒のはずがない。

だってパパは何てったってカッコいいんだもの。

そんなことを考えていたら、遠くの方からパパが歩いてくるのが目に入ってきた。

「チッ」

パパの隣には女がいて、肌と肌がくっつきそうなくらい距離が近かった。

何なのあの女!

ムカつくんだけど!

間違いなくあの女が沙織か瑠美のはず。