温めて味見をしてみるとママが作ったものだと直ぐにわかった。

食べなくても匂いや見た目でわかっていたけど、改めて確認すると何だか切なくなった。

でも、少しだけ味が違うような気もする。

何て表現したら良いかわからないけど、いつも食べているものにプラスαで隠し味が加えられているような気がした。

パパ用に何か味を変えているのかもしれない。

ふと、キッチンにあるテーブルに視線を移すと、パパのスマホが目に入ってきた。

いけないとわかっていても、それを手に取ると色々と操作をして知りたいことを調べた。

もちろん、メールと通話履歴だけど…。

メールは仕事関係のものが殆んどで目ぼしいものはなかった。

通話履歴は…沙織という人物と瑠美という人物の２人が通話の９割を占めていた。

相変わらずこの２人とは連絡を取り合っているようだった。

逆にママとのメールや通話履歴は全くと言っていい程、何も残されていなかった。

何で？

パパとママが連絡を取り合っていない訳はない。

今日だってママがここに来たのは、パパがインフルになってるのを知ったからで、メールも通話履歴も残っていないのは不自然過ぎる。

もしかしてパパはママとのメールや通話履歴を削除している？

でもそんなことをする理由って…あるよね。

私にパパとママが知らないところで連絡を取り合っているのを知られてると困るから。

私に隠れて２人でコソコソと何かしているのを知られないようにするため。

また、私がパパのスマホを勝手に見てしまう可能性を考えてのことだろうか？

まあ確かに何度かパパに無断でスマホを見たこともあったけど…。

それに１度だけパパのスマホから沙織という女性に電話したこともあったし…。

疑われる要素は思い当たる…。

でもきっとパパは私がパパのスマホを見ていることに気付いたとしても私に言ってはこないと思う。

パパは私のことを好きだし、ママよりも私のことが好きだし、私のことが１番大切だから私を傷つけるようなことはしないし、私に嫌われるようなことはしない。

だから私がスマホを見ていたとしても何も言ってこない。

それにしても、沙織と瑠美という人間が誰なのか気になる。

同じ職場の人間の可能性は高い。

今度、１度お目にかかりたいものだ。

と言うか、インフルが治ったらパパの職場に迎えに行ったふりをして詮索してみるのも悪くない。