「パパ…パパ…大丈夫?」

パパの肩を揺さぶって起こそうとしたけど、全く起きる気配はなかった。

仕方なくパパの手を握って声をかけ続けた。

「パパ、大丈夫だよ」
「パパ、香澄がそばにいるから安心して」
「パパ、香澄がついてるからインフルに負けないで」

私は握っていたパパの手を私の頬に押し当てたあと、何度も何度も頬ずりをした。

大きくて優しい手。

かわいそうなパパ。

私のせいでインフルに感染って苦しんでる。

ごめんね、パパ。

私は眠っているパパの胸に顔を埋めて目を閉じた。

服の上からでも熱を感じた。

それから這いずりながらパパの首元まで行くと、首筋にキスをした。

首筋に汗が滲んでいるのを見ていたら、今までに抱いたことのない感情が湧き起こり、何だかムラムラしてきた。

そして再び首筋に唇を密着させたあと、今度は勢いよく息を吸った。

するとパパの首にはキスマークが浮かび上がってきた。

続けざまに、パパの首筋を吸い続けた。

気付くと5ヶ所くらいに私のキスマークがしっかりと出来上がっていた。

それを見ていたら何だか余計に興奮してきた。

私はパパの唇を人差し指で撫でてみた。

キスがしたいという衝動を抑えることが出来ず、ふと我に返った時には唇を重ねていた。

私ってバカだ…。

パパが苦しんでいる時に私は何をやってるんだろう…。

「うぅっ…」

「パパ、大丈夫?パパっ」

「かっ‥香澄?」

「そうだよ、香澄だよ。パパ、しっかりして」

「大丈夫…だよ」

パパはベッドから起き上がれずに、横になったまま私の問いかけに答えてくれた。

「大丈夫じゃないよ。熱もあるし、咳も苦しそうにしてた。薬は飲んだの?」

「夜の分はまだ飲んでない」

「何か食べてから飲んだほうがいいよ。何か食べたいものはある?」

「キッチンに煮込みうどんがあるから、それを食べようと思う」

煮込みうどんか…

「わかった。温めてくるから待ってて」

そう言い残したあと、キッチンに行くと鍋に入った煮込みうどんを見つけた。