「うるさい!騒ぐな!」
と衛兵の怒号が響く。
「むぅぁ、むぅぅ!」
と僕も声を荒げるが口布のせいで間抜けな声しか響かない。
「私は大丈夫だから、ね」
母様はそっと僕に言った。
頬は赤く腫れあがり、唇を切ったのか血が伝っていた。
「むぅぅ、むむ」
血を拭ってあげたい、気の利いた言葉も出ない。
それを察したのか、
「大丈夫よ、香具夜。気にしないで」
そして矢継ぎ早に
「大丈夫、貴方は私が守るから、絶対に」
と言い切った。
僕には理解ができなかった。
そしてその横で残酷にも、処刑の為の準備は着々と進んでいた。


...もう今にも終わりそうだ。