離宮から王宮の広場まで連れてこられた僕と母様。
広場には民衆はもちろん、大臣や武官、文官などたくさんの人が何かを囲むように集まっていた。


...絞首台だ


いやだ、死にたくない
何で僕と母様がこんな目に
死にたくない、死にたくない!

色々な感情がぐるぐると渦を巻く。
涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった僕の顔にそっと何かが触れる。
...母様の手だ。
いつの間にか口の布を外して僕にそっと歌を歌っていた。
「♪♪〜♪〜」
優しくまるで僕を光で包み込むような歌声。
いつもとは違うがとても優しい歌に耳を傾けていると、突然歌が止まり、「ウッ」という声と同時に母様が倒れ込んでいた。