そのうち左上位の連中が、こちらの方へやってきて、騒ぎ立て始めた。
 チャン!チャン!シャン!シャン!
「ニッポンジンはーカクイツテキだー!」
「ミギ向けミギもー、ゼンタイトマレも、シューダンシュギシャの合い言葉!」
 目の前で左上位が騒ぎ立てているのに我慢ならず、晴明は席を立ち、父親に向かって叫んだ。
「お前たちが競争を妨害するから画一的になるんだろ!出て行ってくれよ!」
 すると左上位はドンチャン騒ぎをやめた。そして父親は急にあらたまってこう言った。
「いやいや晴明か。私は日本の将来を思って、こう活動してるんだ。息子よ。競争がすべての社会になってごらん。途方もない差別や偏見が横行することになるんだぞ。そんな社会、まっぴらだろ。だったら私たちの活動を理解してくれよ」
 しかし晴明は不満げだった。
「差別や偏見がよくないのは分かってる。だけど競争をなくして解決する問題じゃないだろ!」
 晴明が一人前の口を利くのをシャクに思った父親は開き直って言った。
「競争がなくなって損することなんてあるか?ないだろ。さ、次へ行きましょう」
 ドン!ドン!ドン!
「アカ勝てシロ勝て、くーだらない!!」・・・・
 左上位は、晴明たちのもとから去っていき、また別の場所で騒ぎ立てていた。