一ページ目には【 坂浦さくらとの思い出 】という達筆な文字で始まり、
二ページ目には【 好きになった日 】という、これまた達筆な字で書かれていた。
いや……なに、これ?
困惑した顔を向けると、香月雅はニコニコしていた。いつもの顔だ。どうやら開き直ったらしい。
私が取ったノートの下に積まれてある、別の一冊を手に取り「これはねぇ」と。流し目でノートを見た。
「俺の恋愛歴史だよ。中学までの、だけどね」
「恋愛歴史……?」
「俺ってね、重いんだ。昔の俺が、だけどね。こんなことするくらい、重い奴だったんだ」
「重……え?」
「とりあえずノートをめくってみて。聞くより、きっと見る方が早いから」
言われるがまま、ノートをめくる。
すると好きになった人との出会いから、好きになったきっかけ。そして付き合い始めるまでの葛藤、無事に付き合えた後のあれやこれや……などが、事細かに記されていた。