香月雅の家にいるからか、今まで見たことない彼の姿を、たくさん見ている気がする。素の姿って感じ。

でも、どうしよう。このまま聞くべきなのか、やめとくべきなのか。あの香月雅が、これほど前置きをする内容の話だ。それ相応の話が待っているに違いない。

困ったので、とりあえず香月雅を見る。すると一秒たりとも視線をそらさず、棚に手を掛けたまま私を見つめる姿――彼の本気を見た気がして、自ずと背中に力が入った。


「聞く。あなたさえ良ければ、話してほしい」

「……わかった。じゃあ、はい。コレを見て」


ドサッと置かれたのは、三冊の黒いノート。相当使い古されているのか、表紙はすれているし、角はボロボロだ。年季が入ってるなぁ……じゃなくて。一体これは何?

すると香月雅が「見てごらん」と言うので、一番上のノートを手に取った。中をめくると……