「それでさ、香月雅。さっきの続きなんだけど……」

「うん、そうだね」


私はいやらしい事をするために、部屋に来たんじゃない。公園で、香月雅があんなことをいうから、気になって……。


『俺が片方だけピアスをしてる理由、知りたい?』

『じゃあ、今から俺の家においで』


あの時の真剣な表情。私を家に招くためのウソ、とはとても思えない。いつも捉えようのない笑みを浮かべているからこそ、それ以外の表情は、香月雅の本心そのものな気がする。

私の目を三秒ほど見た香月雅。スッと立ちあがり、机へ移動した。その際、椅子の隣にある五段の引き出し。その一番上の棚に手をかかける。


「乾燥は15分ほどで終わると思う。それまでには話せると思うけど、正直……聞いて楽しい話じゃない」

「え……」

「でも俺的には、仁奈に知っておいてほしい気もするし、ずっと隠し続けたい気もする。半分半分かな」

「……」