ダメのメ、を言い終わる前に、カシャとシャッター音が響く。犯人はもちろん、香月雅なんだけど……。私の怒った顔を見て、何かに気付いたようにハッとした。


「……なーんてね。さすがにコレは違うか。後で消しとくから、安心して」

「うん……?」


あの香月雅が、遠慮した?私に?いつもだったら「写真くらいでケチケチしないの~」とか言いそうなのに、逆に私を尊重するなんて。

深まる疑問。だけど香月雅は、もうあっけらかんとした様子だった。いつものニコニコ顔で、リビングのドアを指さしている。


「階段のぼってすぐ左が俺の部屋だから。乾燥機かけてくるから、先に行っててね」

「あ、うん……分かった」


階段の隙間から下の様子が見える、オシャレならせん階段を上がる。のぼってすぐ左の部屋。右にも部屋があるけど、これは妹さんかな?にしても、香月雅に妹がいたなんて……しかも兄を崇拝してるなんて。世の中、分からないもんだ。