「じゃあ、洗濯物はここに置いて。タオルはここ、着替えはそこ。大丈夫そう?」

「えっと、服を乾かすだけでいいので、お風呂は……」

「なに言ってんの。このシチュエーションでお風呂パスは、普通に考えてナイでしょ?」


じゃあごゆっくり、という言葉を残して。香月雅は、私を風呂場に残した。

ちょうど「お風呂が沸きました」と中からアナウンスが流れ、私のために夕方の五時にお風呂を焚いてくれたのかと感激する。あと、とてつもなく申し訳ない……。


「ゆっくりするのは悪いから、早く出よう……!」


意気込んで入浴開始!のはずが。香月雅の家はとんでもなく豪邸で、広かった。もちろん、お風呂も例外ではない。

大きなバスタブに思い切り手足を伸ばし、嗅いだことない良い香りのシャンプーやトリートメントにうっとりし……。そんなことをしていると、30分くらいは経っていた。