拭いてくれるの?ごめんなさい……って感じなんだけど。なんだか香月雅の様子が変で。いつも不気味なくらいニコニコ笑っているのに、私の目に写るのは真剣な顔の香月雅。何があったんだろう。


「俺が片方だけピアスをしてる理由、知りたい?」

「え……う、うん」


だって気になるし。一度気になっちゃったら、モヤモヤは解消させたい主義だし。

すると香月雅は、ふっと笑う。いつもの笑顔を見て安心……したのは間違いで。


「じゃあ、今から俺の家においで。近いんだ――大丈夫。服を乾かしながら、話をするだけだから」

(もしかして私……今から食われるの?)


危険な発言を聞いて。安心したはずの心臓は、みっともないくらい大きく跳ねた。