「うそだぁ。だって男の人は、みんな面倒って思うでしょ?」

「そんなことないよ。むしろ、そんな風にしか思えないなら、もったいないな」

「もったいない?」


隣に座る香月雅は、黒い髪の間から、アーモンド型の瞳をのぞかせて笑った。


「つきあった日。手を握った日。ハグをした日。キスをした日。その先も――。俺は、そういう一つ一つを大事にしていきたい。むしろ記念日だらけにしたい。彼女と祝える日が多いのって、単純に幸せじゃん。だから〝面倒〟なんて、絶対に思わないよ」

「いや……でもそれ、ぜんぶ覚えておくの大変じゃない?」

「一度覚えたら忘れないよ。大切な日だし」

(へぇ、意外)


てっきり「毎日が新しい女子と付き合うハッピーデイ」とか言うと思ったら。意外に一途なんだ。それって、なんかカッコイイ、かも?


(ハッ!何を考えているの、私は!)


香月雅をカッコイイ、だなんて!
ダメ!