「仁奈?おーい」
私の顔前で、スマホを振る香月雅。さっき彼に撮られた私が、赤面した私を、画面越しに見つめている。
「……ぷ、」
「ぷ?」
「プライバシーの侵害だから、今すぐ消して」
「えー、なにその反応。すっごいやだ」
少し眉間にシワを寄せるも、まだ笑ってる香月雅。この人、いつ笑わなくなるんだろう。こんなにずっと笑ってて疲れないのかな。
むしろ、その笑顔にあてられてこっちが疲れるから、もう笑わないでほしい……。
「やだって言われても、恥ずかしいものは恥ずかしいから……消して」
「消してと言われても、残しておきたいから諦めて」
ね?なんて言われても、引きさがるわけにはいかず。「言ってダメなら実力行使だ」と、香月雅の手を掴む。
……けれど。
いつの間にか香月雅の大きな手により、恋人つなぎへと変えられた。