「よく抹茶オレ飲んでるのを見るからさ。好きじゃないと、あんなに買わないでしょ?」
(よく見るんだ、私のこと……)
なんで?って。聞きたくなる。
もう全部ぜんぶ、聞きたくなる。
私の名前を知っていたのも、私が抹茶オレを飲む姿を見るのも。なんで、どうして、もしかして……って。
香月雅の前だと、ささいな好奇心が疑問符に変わっていく。そして自分と彼の接点がないか模索してしまう。導火線のシッポを掴めないか、飽きるほど嗅ぎまわってしまう。
そんな事をしちゃうのは、きっと……香月雅が謎に包まれているから。その謎に、引き寄せられてしまうから。
なんでそんなにカッコイイのか、なんでそんなに魅力的なのか――警戒している私でさえ、これだけ絆されてしまう。
本当に、この男は危険人物だ。