「えっとね、仁奈。なんでいきなりピアスを開けたいの?」

「だって私、雅のまるごとを好きって言ったじゃない?」

「うん。すごく覚えてる」


半ば食い気味でいうも、本人はそれどころじゃないらしい。「それに」と、上目遣いで俺を見た。


「何でも二人で分かち合えばいいって、言った」

「うん。聞いた」

「だからピアスも、二人でって……そう思ったの」

「つまり、俺がしてないもう片方のピアスを仁奈がするってこと?」


すると仁奈は頷いた。気まずそうな、だけど覚悟を決めたような視線。だけどピアスを開けることへの恐怖心からか、少しだけ瞳は揺れている。


(あー、ダメ)


ダメだ、仁奈を今すぐ抱きしめてキスして押し倒してしまいそう。元カノへのプレゼントをお揃いでつけたい、なんて。こんな小さな体のどこに、そんな度胸があるんだろう。


「仁奈」


ふわりと。仁奈を抱き寄せる。言ったものの、やっぱり不安があったのか。仁奈はわずかに震えていた。