『今から俺がすることを、よく見ててほしい』


昨日、雅と帰っている時。雅はスマホを出して、真剣な顔で言った。

一体なにをするのかと思いきや、付き合ってる複数の彼女たちに、別れのメールを送っていた。そして女友達であろう連絡先は、まるっと削除。

潔いっていうか、今までの雅が偽りだった証を、目の当たりにした。そんな気分だった。


『……』

(無言。何を思いながら消しているんだろう)


偽りの自分に寄って来た女子達。その子たちとの時間を、雅はどんな気持ちで過ごしていたんだろう。


『はい、これで俺のスマホは仁奈の連絡先だけ。俺の彼女も、仁奈だけだよ』

『雅……』

『今まで恋愛に対して不誠実でごめんね。もう絶対しない。このぬいぐるみに誓って』


そう言って、さっそく買った白いネコのぬいぐるみにキスをする雅。少しだけ、ネコに嫉妬したのは内緒の話。


『さ、帰ろう。これからプチパーティだもんね』

『――うん!』


なんて事があって。遊び人・雅は、きちんと身辺整理をしたのだ。彼女である私の目の前で。

だというのに私ときたら……自分の身に起きていることを、スッカリ忘れていた。