でも呼んじゃったものは仕方ない。計画流れしそうだけど、少しでもキスから意識が逸れれば、それでいい!
自分の手とかぶらないよう、顔をナナメに倒して雅を見る。そして、少しだけ甘えた声を出して見た。
「白いネコを、早く買いに行きたいなぁ……」
「……」
「……だめ?」
すると彼はなぜか、「ふー」とロングブレスを吐く。あ、目を閉じた。
これが雅の〝頭の冷やし方〟なのだろうか。まぶたを開けた彼の瞳に、さっきのギラつきはなかった。
「……よし、OK。今すぐ行こう。まだ時間は大丈夫?」
「今から!?だ、大丈夫だけど……あ、美麗ちゃんにメールしてほしい。きっと心配してると思うから」
「そうだね。じゃあ、はいチーズ」
パシャリと、二人のツーショットを撮る雅。そして素早く「ありがとう」と打ちこむ。送信する前、これでいい?と私に見せた。
「うん、大丈夫」
「じゃあ送信っと」
ありがとう――兄妹ならではの、シンプルな文章。だけど五文字の中に、感謝しきれないほどの想いがある。
(美麗ちゃん。あなたのおかげで、今こうして雅と笑い合うことができてるよ。本当にありがとう)
私を送り出してくれた美麗ちゃんの気持ちを考えると、思わず涙腺が緩む。そんな私を察したのか、雅は「お土産に何を買って帰る?」と、私の手を優しく包み込む。