そうやって、ズルい言い方をする。しかも「私のこと好きなら」って……さては美麗とタッグして情報共有したな。

二人の相性は悪いだろうから仲良くならないと踏んで、美麗に見張り役を頼んだのに。まさか裏目に出るなんて。

ねぇ仁奈、どうして君って、いつもそんなにズルいの。どうして、いつも俺の想像をはるかに超えて可愛いの。

今だって、病み上がりなのに無理して走って、顔を真っ赤にして、肩で息をして……ズルい。すぐに抱きしめたいよ。好きな人から盛大に告白されて、喜ばないわけないじゃん。


(でも、耐えろ……俺)


仁奈は、俺の好きな人。
だからこそ付き合えない。

俺が重いせいで、元カノは傷ついた。仁奈には、そうなってほしくない。幸せになってほしいんだ。


「仁奈の鞄を取りに行って来るから、このまま待ってて」

「……あなたが好き」

「しんどいなら、どこかのお店に入って、」

「大好きなの……ッ」

「……っ」


あぁ、もうやめて。いつもすぐ怒るくせに、何でこういう時に限って怒らないんだよ。仁奈の告白を、俺はスルーしたんだよ?すっごいムカつくでしょ?

だから、いつもみたいに怒ってよ。「もういい!」って、さっさと俺を突き放して。


でも俺の浅はかな願望は、仁奈によって簡単にかき消される。