元来の性質が「愛が重い」せいか、仁奈が逃げると追いたくなるし、拒絶されると無理にでも囲い込みたくなる。男の狩猟本能をこれほど刺激されたのは、仁奈が初めてだ。

それに、たまに見せる笑顔は不意打ちすぎるし、〝重い俺〟を笑って受け入れてくれたのもズルすぎる。

そりゃ六人の男が惹かれるわけだよ。今は、あの響谷って奴もそうなんだろう。気に食わないけど。


(でも恋の土俵に立たないくせに〝負けたくない〟って嫉妬するのは、ズルいよね)


ねぇ仁奈。君の七人目の彼氏って、一体どんな奴なんだろうね。最大限、仁奈を幸せにしてくれる奴だったらいいな。君はこんなにも恋に真っすぐで、素直な子だから。

仁奈の頑張りも、可愛さも、弱さも俺が一番知っている。むしろ俺だけが知っていることだ。


(だからこそ、俺が仁奈の彼氏になるのが一番なんだろうけど)


純粋な君の隣に、遊び人の俺は立てないから。俺の〝重さ〟を、君にだけは引かれたくないから。

だから、ごめんね仁奈――

眉を下げる俺を見て、仁奈は弾かれたように体をびくつかせた。俺が何を考えているのか分かったんだろう。瞬間、とめどない涙が彼女の頬を伝う。


「香月雅、なんで何も言わないの?私のこと好きなら、付き合ってよ……っ」

「……~っ」