君は「次こそ平和な恋をする」って言ってたじゃん。それなのに、俺に告白してどうするの。
「好き、私と付き合って!」
堂々と告白して、どうするの。どうして俺なんかを好きになっちゃったの。君にふさわしい奴は、もっと他にいるだろうに。
(バカだよ、仁奈は大バカ)
心の中で、これでもかと仁奈を責めた。
と同時に、あることも思っていた。
(一度はじめた遊び人って、やめることが出来るのかな。それに、遊び人をやめたら、また俺は重くなる。そんな俺を見て、仁奈は引かないかな)
顔を真っ赤にして俺に告白する仁奈を見たら、無意識にそう考えていた。あぁ、ダメだ。
口元は勝手に緩んじゃうし、今の仁奈をすごく可愛いと思っちゃう。仁奈が「好き」と言ってくれた言葉を、頭の中で何度も反駁し、嬉しさを噛み締めてしまう。
このままじゃ俺、本当に「付き合おう」って言ってしまいそうだ。「俺も好き」って言ってしまいそうだ。全部ぜんぶ、俺の本音を仁奈に知ってもらいたくなる。
でも……ダメだ。だって俺は、恋愛に見切りをつけた、面倒な遊び人だからさ。