「うん」



私が頷くと、航くんは嬉しそうに口角を上げる。



可愛い。

私もつられてニコニコしてしまう。



そして、ハッとして。



「そういえば、私のことを『ただの友達』って言ってたよね?」

「え?……えっ!?なんで知ってんの!?」

「ショックだったんだもん……」

「ごめんっ」

「それにキスした後にも『ごめんっ』の言葉があったよね?」



航くんは慌てて、
「ごめんって!かのん!!」
と言ってから、
「あれは、『突然キスしてごめん』の、『ごめんっ』だったんだよ。それに『ただの友達』ってあいつらに言ったのもさ……」
なんて、声が小さくなった。



「何?」

「なんで俺の大事なかのんへの気持ちを、本人じゃなくて、あいつらに言わなくちゃいけないんだよって思って……」



既に赤かった航くんの耳は、今や茹でたタコみたいになっている、



私は聞きたかったことを聞けて、
「良かった」
と、安心した。