思わず笑ってしまうと。
航くんも「あはははっ」と、笑った。
友達じゃ、やだ。
……そう思っていたのは。
私だけじゃなくて、良かった。
「あ、ホワイトデーのお返し」
と、航くんが体をほんの少し離し、鞄の中から袋を取り出した。
「受け取って」
「ありがとう。開けてもいい?」
航くんが頷く。
袋をそっと開けると、爽やかな青色が見えた。
取り出してみると、ブックカバーだった。
「すごくキレイ!いいの?ありがとうっ」
「かのん、いつも本を読んでいるから」
「わー、嬉しいっ!大切にする」
航くんは、
「考えてたんだ、かのんの好きなことは俺だって知りたいって。だから今度、かのんの好きな本を教えてよ」
と、優しく目を細めた。
嬉しくて。
胸の奥がキュンっとした。
まだ濡れている私の頬を、航くんは指先で拭ってくれて、
「幼なじみだけど、でも今日からはそれだけじゃないんだよな」
と、言う。