「俺、キスしたよね?」
「うん」
「そんなこと、好きな子にしかしない」
「えっ、でも……」
私は航くんの腕の中で、航くんを見上げる。
航くんは真っ赤な顔をして、でも真剣な目をしていた。
「ただの幼なじみじゃ、やだって言ったんだよ」
「……えっ?」
「幼なじみなだけの関係から、恋人になってほしいって意味で言ったんだよ」
えっ。
えっ?
「わかりにくい……」
呟くと、航くんは笑って、
「そうだよなぁ」
と、またため息をついた。
それから、
「友達も、幼なじみも、やだ。俺の恋人になって。かのん」
と、私の頬に優しくキスをした。
「うん、嬉しい」
涙声で。
「好きだよ」
と、伝えると。
「俺も」
と、航くんの顔が近づいてきた。
ちゅっ。
甘くて、少ししょっぱいキスだった。
「どうして私の部屋には入らないの?」
と、尋ねると、
「まぁ、それは……。好きだから?」
なんて、航くんは耳まで赤くした。