「かのん?」



私の顔を心配そうに覗き込む航くん。



(わかっていたことじゃん)



そうだよ。

わかった上で、気持ちを伝えるんだから。




今日、きっと私は振られる。




それでも。

私は……。




「じゃあ、部屋に入らなくてもいいから。廊下でいいから、聞いてほしい」




そう言うと、航くんは頷いた。



「……あのね、航くん。私、航くんに伝えたいことがあるんだ」

「……何?」

「私、私は、……航くんが好き、なんだよ」

「え?」



航くんは目を丸くした。



「バレンタインデーの日、照れ隠しで本命チョコって言えなかったけれど、本当はずっと、ずーっと、航くんのことが好きだった」

「えっ、ちょ、ちょっと待って」

「航くんにキスされて嬉しかったけれど、あれがどんな意味なのかよくわからなくて」



だって、『ごめんっ』って言われた。

『俺の欲しいものは、ただの幼なじみからは貰えないから』って。